【プロが解説】デザインフォントの選び方と考え方

【プロが解説】デザインフォントの選び方と考え方
Tetsuya

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デザイン歴23年、ガチデザイナーの「Tetsuya」です。

普段デザインする時、フォントをどんな基準で選んでますか?
フォントの種類や役目をご存知ですか?

なぜならフォントはフォントデザイナーの手によって
いろんな形にデザインされており、その理由としてフォントには

  • 「文字情報」として伝えるため
  • 「印象」を伝えるため

これら「2つの役目」があるからです。

なので、これまでデザインする時にフォントを「適当に選んでいた」と
今、頭に浮かんだ方は、ぜひ参考にしてください。

目次

デザインフォントの選び方

さて、「フォントの種類と選び方」を伝える前に、
ものすごく大事なことをお伝えします。

それが何かと言うと「世界観」です。
ちなみに世界観というのは、簡単に言うと「らしさ」です。

というのも、デザインを作る際には基本的に
自分がどんな情報を誰に対して、どんな印象で伝えるのか?

きちんと考えて作る必要があるのですが、
その理由としては「世界観」を作り込む方が、相手に響きやすくなるからです。

例えば、料理のチラシやサイトを作るにしても、
和食料理専門のお店なら「和食を食べたい」と思う人に対して、

和食料理屋「らしい」和の世界観を作る方が
当然興味は持たれやすくなりますよね。

なので、「和の世界観」を作るには、
どのフォントを使えば「和の世界観」に合うのか、知らなければ作れません。

そのためにも「フォントの知識」が必要なわけです。

つまり、デザインを作っても「なんか違う」となってしまうのは、
自分が作りたい世界観とそもそもフォントのイメージが合っていない。

もしかすると、それがモヤモヤの原因かもしれません。

デザインフォントの分類

ということでフォントの知識としてまず何よりも知っておいてほしいのは、
書体の大分類」です。

書体には大きく4つに分類することができ、それが以下になります。

書体の大分類
  • 和文書体:ゴシック体/明朝体
  • 欧文書体:サンセリフ体/セリフ体

欧文書体のサンセリフ体というのは、和文書体のゴシック体に近い形、
セリフ体というのは、和文書体の明朝体に近い形だと思ってください。

ちなみに、セリフというのは、書体の以下の部分(画像左)。

そして、「サン」というのはフランス語で「〜がない」という意味で、
サンセリフ体というのは、右側の画像のようにセリフのない書体になります。

また、和文書体の場合は、セリフのことを「うろこ」という表現をします。

デザインフォントを選ぶときの考え方

書体にはゴシック体と明朝体、サンセリフ体とセリフ体、
こうして「大きく4つの分類」に分けることができるのですが、

さらに、それらの書体が人に与える印象を知っておくと、書体選びには悩まなくなります。

実際にそれぞれの書体が人に与える印象というのは
「和文書体」の場合、

書体名人に与える印象
ゴシック体(太)安定感、力強い、元気な、男性的、無機質、重厚感
ゴシック体(細)明るい、繊細、軽快、都会的、女性的、若い
明朝体(太)堅い、厳格、力強い、説得力、男性的、歴史的
明朝体(細)柔軟、品格、中世的、都会的、信頼感、モダン

また「欧文書体」の場合は、

書体名人に与える印象
サンセリフ体(太)硬い、厳格、力強い、説得力、男性的、歴史的
サンセリフ体(細)柔軟、品格、中世的、都会的、信頼感、モダン
セリフ体(太)元気な、力強い、安定感、男性的、無機質、重厚感
セリフ体(細)明るい、繊細、軽快、都会的、女性的、若い

このように様々あって、同じ分類の書体でも、太さによっても印象が変わります。

また、明朝体というのは、もともと筆で書かれた文字を活字として起こした経緯もあり、
「はね」や「はらい」などがきちんとあって「情緒的な雰囲気」を持ち合わせています。

逆にゴシック体は常に線幅が一定で直線的なイメージから、
機械的な冷たさの印象があるため「論理的な雰囲気」も持ち合わせています。

なので、情緒的(感情的)に伝えたい場合は「明朝体」、論理的に伝えたい場合は「ゴシック体」。
そうしたイメージを持っておくと、さらに書体選びはしやすくなります。

そしてここからさらに細かく分類していくと、それ以外にも

書体の小分類
  • 丸ゴシック体
  • 楷書体(筆・習字文字)
  • 装飾書体(和文デザイン書体)
  • ラウンデッド体(丸ゴシック体に相当)
  • スクリプト体(楷書体の欧文版に近い。カリグラフィ、手書き系書体)
  • スラブセリフ体(ゴシック体 + セリフ)
  • デコラティブ体(欧文デザイン書体)

こうした様々な書体群があります。

丸ゴシック体とラウンデッド体

簡単にだけ解説しておくと、丸ゴシック体とラウンデッド体は両方とも
角が取れた線の先が丸い書体で、柔らかく優しい印象を与えるのに向いています。

なので、それぞれの書体が持つ印象としては、

書体名人に与える印象
丸ゴシック体かわいい、やさしい、子供っぽい、柔らかい
ラウンデッド体やわらかい、可愛い、子供っぽい

また、丸ゴシック体やラウンデッド体を使う場合は、細くすると繊細で女性的なイメージになり、
太くすると子供っぽいカジュアルなイメージが演出できます。

ですので、丸ゴシック体やラウンデッド体は太さによってだいぶ印象が変わりますので、
もしもそれらの書体を使う場合は、目的やターゲットを考えた上で、

ターゲットが書体の太さによってズレてしまわないように書体の太さを慎重に選ぶようにしてください。

スクラセリブ体

次にスクラセリブ体です。

正直、スクラセリブ体は僕もあまり聞きなれない書体群なのですが(笑)
スクラセリブ体というのは、どういう書体群なのかと言うと、以下のような

セリフの部分の形が、四角い形状になっており、非常に存在感のある書体になります。

ちなみに、左側の画像はサンセリフ体に四角いセリフが付いた書体、
右側の画像はセリフ体に四角いセリフが付いた書体です。

なので、スクラセリブ体を使うと、

書体名人に与える印象
スクラセリブ体力強い、目立つ、存在感

同じ明朝系やゴシック系を使うにしても、比較的どっしりとした強めの存在感や
安定感を与える印象にすることができます。

楷書体とスクリプト体

さらに楷書体とスクリプト体ですが、書体としては基本的に
全く違うものにはなりますが、書体群の考え方としては同じになります。

というのも、両方とも手書き感のある書体「習字文字」というくくりでは
同じ書体イメージになるからです。

実際に「カリグラフィ」と呼ばれる流れるような文字というのは、
伝統的な日本の習字に対して、「西洋習字」とも言われています。

なので、それぞれの書体群が持つイメージとしては

書体名人に与える印象
楷書体伝統的な、歴史のある、正式な
スクリプト体高級感のある、フォーマルな

このようにいずれにしても、これらの書体は、
格調高いイメージや、高級感、エレガントといった雰囲気を演出するのに向いています。

また、同じ手書き系やスクリプト系でも、このように柔らかさのある書体は

「親近感」だったり、「カジュアルさ」を演出できるフォントでもありますので、
デザインの用途を考えた上で、それぞれの書体をうまく使い分けるようにしてください。

装飾書体とデコラティブ体

そして最後に、いろんな書体がある中でおそらく最も所属する書体が多い書体群が
この「装飾書体」と「デコラティブ体」になります。

なぜなら、この世に存在している大半の書体は
「装飾書体」と「デコラティブ体」に分類されるいわゆる「デザイン書体」になるからです。

言い換えるなら、ここまで解説してきた書体群に該当しない書体は
全て「装飾書体」か「デコラティブ体」ということになります。

ただ、気をつけて欲しいのは、デザイン書体は本当に個性的で
見てるだけでも楽しいですし、自分の個性を演出するためにも使いたくはなるのですが、

あまりに個性的な書体を使うと、どういう意図でデザインされているのか?
相手に目的が伝わらず、逆に見てもらいにくくなるリスクが高くなってしまいます。

見るからに可愛い装飾書体
個性的なデコラティブ体



なので、これらの書体群のフォントを使う場合は、
デザインの目的や自分の情報を届けたい相手を明確にした上で、

デザイン性やアート性を高めたい時にだけ使うようにしてください。

実際プロの現場でデザイン書体というのは、
よほどのことがない限り使うことはありません。

ですから自分らしさや個性を強調し、比較的アート性の強いデザインを作る場合は、
そうした世界観を作るためにデザイン系の書体を使うのは全然ありですが、

通常のデザインとして、誰かとコミュニケーションを取るためにデザインする場合は、
あまり奇抜なデザイン書体ではなく、「誠実な印象を与える」
オーソドックスな書体を使うことをおすすめします。

デザインフォントの選び方と考え方まとめ

今回はフォントの種類と選び方ということで、ざっくりではありますが、
書体の大分類と、書体が持つイメージや人に与える印象についてお伝えしました。

実際にどんな書体を使えば、どんな印象を与えられるかを知っておけば、
自分が与えたいイメージは作りやすくなりますし、

書体を選ぶ時もある程度ピンポイントで選べますので、
デザインの制作時間も短縮できます。

いずれにしてもデザインする上で大事なのは、

自分が作りたい世界観がどんな要素でできているのか、
それらを分析し、きちんと知ること。

つまり例えるなら、デザインは料理によく似ているのですが、
もしも自分が「カレーを食べたい!」ってなった時は、

どんな具材を揃えればカレーを作れるのか、
あらかじめレシピを調べて材料を用意すると思います。

デザインもそれと同じで、自分が届けたいと思う情報を欲しがる人は
どんな世界観に反応するのか?

届けたい相手のことや、相手が反応しやすい世界観の要素を知ることが重要です。

そして、その要素でどういう魅せ方や伝え方をすれば、より多くの人が反応してくれるのか
そこを設計するのがデザインであり、自分の作りたい世界観が
どんな要素でできているのか、理解してなければ、

「あれ?カレー作るはずだったんだけどなあ」と、
なんか違う」と思う違和感のある世界観になるのは、ある意味当然のことでもあります。

だからこそ、1つひとつの要素をきちんとどんな考え方で取り入れれば良いのか
まずはしっかりと知ることが大事で、

そのために必要な情報を少しでも詳しく
僕のブログではお伝えしていきたいと思っています。

なので、まだまだ足りない要素や情報は多いですが、
少しずつ細かいところまで増やしていけたらと思ってますので、

マニアックなところまでいかなくても、
まずは最低限デザインに必要な考え方や見せ方のポイントだけでも
理解が深まると嬉しいです。

こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

【プロが解説】デザインフォントの選び方と考え方

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