【コラム】デザインにセンスは必要ないのか?

【コラム】デザインにセンスは必要ないのか?
Tetsuya

プロの意見を素直に書きます。

「Tetsuya」です。

デザインの話をすると必ず出てくるのがセンスの話。
センスがないからデザインできない。自分にはデザインのセンスがない。
センスあって良いですね。羨ましいです。

デザインしない人、デザインできない人は、
大体「自分にはセンスがない」とセンスの話によくなります。

ということで、

  • デザインにセンスは必要なのか、必要ないのか?
  • センスがなくてもデザインすることはできるのか?
  • そもそも「センスの正体」とは?

そんな疑問に対して、20年以上広告業界の現場でプロとして仕事をしてきた立場から、
リアルな話をコラムとしてまとめてきます。

もしも「デザインとセンスの関係」で悩まれているならぜひ参考にしてください。

※このコラムはあくまでも一個人の意見であり、誰かを否定するものでも、自分の正義を振りかざすものでもありません。あくまでもプロとして現場経験してきたことをリアルに書いているだけです。

目次

センスとは?

デザインのセンスを語る前に、まず、大前提としてセンスという言葉の定義を理解しておきましょう。
スタートはそこからです。

いろんな人と話をすると本当によく思うのですが、言葉の定義を理解せず、雰囲気で使っている人、話している人が非常に多いことには驚きます。

センス〘名〙 (sense) 人それぞれの内面にある感覚的なもので、感じ方、理解の仕方、あるいは表現の仕方に現われ出るもの。特に、ちょっとした行為や微妙な事柄についていう。「センスのある服装」「音楽的センス」など。

精選版 日本国語大辞典

センス(sense)

  1. 物事の感じや味わいを微妙な点まで悟る働き。感覚。また、それが具体的に表現されたもの。「文学的なセンスがある」「センスのよくない服装」「バッティングセンス」
  2. 判断力。思慮。良識。「社会人としてのセンスを問われる」
デジタル大辞泉

上記から、センスという言葉の定義をまとめると

センス(言葉の定義)
  • 感じ方、理解の仕方
  • 表現の仕方に現われ出るもの
  • 物事の感じや味わいを微妙な点まで悟る働き
  • 判断力、思慮。良識

こうして少し辞書で調べるだけでもセンスというのは、
単なる感覚的なものだけではないと分かります。

センス=理解の仕方だったり、悟りだったり、判断力だったり。

つまり“センスの有無”というのはシンプルに、その物事に対して
悟れるだけの理解が足りているか、足りてないか?それだけのことです。

言い換えるなら、センスがないのではなく、その分野に対して理解が足りない。

なので、デザインのセンスがない、デザインが苦手という人は、
デザインのセンスがあるとかないとかではなく、

純粋にデザインに興味があり、理解したいか?理解する気があるかどうか?

そもそもデザインの理解も興味もないのに、デザインのセンスが身に付くはずがないのです。

何事でもそうですが、その道のプロとして活躍されてる方は、
自分の興味があることをしっかりと学び、自分の経験をもとに、自分に合うやり方で
自分のやりたいことを継続し、結果までつなげています。

また、センスというのは“個性”でもあり、
一つ勘違いして欲しくないのは、必ずしも「センス=技術やテクニック」ではないということ。

デザインにセンスをどう活かすか?

僕はプロとして20年、広告業界で大手一流企業の代理店から、上場企業、中小企業から、個人事業主、海外のクライアントまで大小、国内外問わず、仕事をした経験を持っていますが、

僕がそうしたクライアントと対等に仕事ができたのは、
僕という人間がデザイン業界の超有名人で、賞レースでは必ず賞を獲得し、
人並み外れたデザインのセンスを持っているからではありません。

僕は芸大すら出てませんし、コンテストに応募したことも、
賞を取ったこともない人間。

そもそも僕は賞を取ったり、有名になるためにデザインをしているわけではありません。

もしかすると、デザインのセンスがないと言う人、そういうふうに自分を卑下してしまう人は、
デザインそのものの本質を大きく勘違いされているかも知れません。

デザインはアートではありません。

デザインのセンスがないと言う人のほとんどは、デザインの知識を学んでおらず、
デザイン=テクニックだと思い込んでいる節があります。

デザインは、見た目を綺麗に整えることが本質ではないですし、
プロの仕事は見た目を綺麗に整えることではありません。

それこそ僕は両親から散々「センスがない!」と言われ続けて育ちましたが、
それでもプロの現場ではクライアントに喜んでもらったり、

仕事をリピートしていただいたり、指名してもらったり、
デザインの現場でたくさんのクライアントから頼りにしてもらえました。

なので、センスというのは“ある”とか、“ない”とかではなく、
必ず誰にでもセンスはあるし、自分のセンスをどう活かすかは自分次第。

何をするにしても“センスがない”と逃げていれば、
決してうまくいくことはないでしょう。

センスはチャレンジしてこそ磨かれるものです。

デザインにセンスを活かす方法

ちなみにデザインに自分のセンスを活かすには、自分のセンスを理解すること。

具体的には、自分がどんなことが好きで、何に最も興味があるか?
自分が常に気になっていることや、見えている世界観。

もっと分かりやすく言うと、自分が最も詳しいことは何か?を
改めて把握すること。そこを意識することで見えてくるものが必ずあります。

僕はプロの現場でたくさんのクライアントに頼りにしてもらえましたが、
僕のウリはデザイン力ではありません。

それこそプロの現場に入れば、僕よりも上手いデザイナーは腐るほどいるし、
社内にも僕よりセンスの良い人はたくさんいました。

それにも関わらず、そんな自分よりもセンスの良い人や、
自分よりも肩書きが上の先輩を押し除け、ご指名が入ってきたのにはいくつかの理由があります。

その最も大きかった理由が、コミュニケーション能力。

僕自身、自分にはデザインのセンスがないことも知ってましたし、
そもそもデザインの法則やテクニックに全く興味はなかったのです。

それよりも最も興味があったのは、クライアントのこと。
そして、どうすればクライアントや自分にストレスを与えず、スムーズに仕事が完遂できるのか?

ある意味、デザイン力とは関係ない部分ではあります。

僕はクライアントが

どんな課題を抱えていて、どういう結果を得たいのか?
どうすれば、その想いがユーザーまで届くのか?

ヒアリングでそうした部分を注意深く聞き、

本当にクライアントが求めているのは何なのか?
そこに気付き、提案し、クライアントを「あっ!」と言わせることが何よりも快感でした。

なので、僕はそうした部分をクライアントに評価され
「コイツなら何か面白い提案をしてくれる」

その期待感から仕事をいただき、僕は仕事を楽しみ、クライアントは提案に喜び、
結果に喜び、win-winな関係を作ることができました。

もちろん、いきなりクライアントのことを100%理解するのは不可能です。

だからこそ、クライアントが嫌がりそうなことも失礼を承知の上で、
相手を理解するためにあらゆる質問をぶつけたりもしましたし、

クライアントを理解しようとする誠実さが信用につながり、
デザイン力以外の付加価値として、僕自身の強みになった部分でもあります。

つまり、センスや個性を技術だけに頼ろうとすると、いくらでも上には上がいますし、

どれだけ技術力が高くても、それこそ人間的に嫌われれば、
仕事もお金も入ってきません。

ですので、デザインのセンスがないと言い切る人は、
自分にはデザインのセンスがないのではなく、そもそもデザインに興味がないと割り切って

デザイン以外のどんなことに興味を持てるか?興味があるのか?

その上で、僕のようにデザインと自分の興味を絡めれば、それがその人本来の、本当の個性、
唯一無二の個性となり、他者の追随を受けにくくなります。

デザイン力を無理にあげようとしなくていい

これからはもうデザイン力を無理してあげようとする必要はありません。
そうしたオペレーションはAIが勝手にやってくれるからです。

だからこそ、なぜデザインが必要なのか?

デザインのテクニックではなく、デザインの本質だったり、
デザインの活かし方だったり、

そうした部分に目を向けていく必要があります。

実際、Canvaのおかげで、世の中、エセデザイナーがかなり多い。

ただ自分がお金を稼ぐためだけに、下手クソな見た目を整え、
お金を巻き上げる輩には、心底腹が立ちますが、

ぶっちゃけそう言う輩にお金を払う人は被害者ではなく、
デザインの本質や、プロの仕事を理解してない人。

勉強不足の人だと思いますし、そうした人は皆、
一度勉強料を払う必要があるでしょう。

つまり、デザインの勉強をしたくない人、デザインにお金を払いたくない人は
結局そうして、エセデザイナーに無駄な勉強料を払うことになるのです。

そう考えると、世の中本当に上手くできてると感心します(笑)

いずれにせよ、デザインはAIに代替される世の中になります。
だから、今更一生懸命デザインのテクニックを磨いても時間の無駄です。

余計なお金や時間を使いたくないと思うのなら、
何が自分にとって正しくて、正解なのか?自分で判断できるだけの良識が必要。

それこそがまさにセンス。

そもそも自分にはセンスがないからって、
センスのある人にデザインをお願いしたところで、

しっかり良識を身につけておかないと、自分で判断できませんし、
それこそ外注の言いなりになります。

外注先がよほどできる人で、人間的に立派な人なら良いですが、
世の中そんなに良い人ばかりではありません。

つまり、外注先を見極めるのも自分のセンス、
自分で判断するのも、決断するのも、自分で作るのも自分のセンス。

デザイン力(=テクニック)を伸ばす必要はありませんが、
判断力となる良識だけはこの先、絶対に必要です。

まとめ

結局、デザインにセンスは必要なのか、必要ないのか?というまとめですが、
デザインのセンス=テクニックと考えているなら、必要ないです。

すぐにAIに置き換わるから。

逆に、センス=理解や悟りと考えるのであれば、
自分が最も悟っているもの、理解しているものをデザインと絡めれば、

必ず何かしら唯一無二のものが出来上がると思います。

そうした形で自分のセンスを活かすのであれば、
デザインの効果も高くなるし、そうしたセンスは必要というより、

活かす方が、自分にはプラスになります。

なので、センスというのは、必要なのか、必要じゃないのか?ということではなく、
自分のセンスをどう活かすか?活かしたいのか?活かしたくないのか?

センスの有無を語っても正直意味はありません。
デザインのセンスがなくてもデザインできるし、お金も稼げる。

デザインのセンスがあっても、それを活かしきれない人だってたくさんいます。

だからこそ、自分のセンスを活かすには、自分をまず理解すること。

多くの人は、毎日世間の情報に晒され、外部の影響を嫌というほど受けるため、
自己肯定感はどんどん下がりますし、

自分よりも他人の情報を優先し、他人の情報に合わせようとしてしまいがちです。

ですが、これからそういう生き方をしてしまうと
どんどん生きづらくなってしまいます。

なので、できることなら、デザインをきっかけに自分と向き合い、
世間の情報に振り回されたり、流されたりするのではなく、

逆に自分が世間をいい意味で振り回すような存在になってほしいと思います。

いずれにせよこれからは多様性の時代。
“自分”をしっかり持ってる人ほどかっこいいですし、注目されます。

なので、ぜひこの機会に「自分にはセンスがない」と思うのではなく、
自分のセンスって何なんだろう?」と

逆に自分の強みだったり、人に堂々と言えるセンスをぜひ見つけてみてください。

それさえ分かれば、あとは手段でどう活かすか考えるだけですし、
何をどうしたらいいか分からないと言うのは、

そもそも自分を理解してないからです。

ということで、センスの有無を気にする前に、
自分が持っているセンスに気付き、それを活かす方法を考えましょう。

もちろん、そのセンスがどんなものであれ、必ずデザインにも活かせます。

それこそ、デザインとかけ離れているものほど、
組み合わせると面白い効果が出るはずですので、

「センスがない」と思っている人は、何かしら1つでいいので、
自分にはどんなセンスがあるのか?ぜひ冷静に考えてみてくださいね。

僕が大好きな“さいとうなおき”先生の動画を1つ貼っておきますので、
センスや個性ってどう活かせば良いの?って悩まれている方はぜひ参考にしてください。

以下はイラストの絵柄に関する個性の話ですが、
自分の個性を仕事や人生にどう活かすか?非常に学びになるおすすめの動画です。

【コラム】デザインにセンスは必要ないのか?

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