色のイメージを知っておくだけで配色はしやすくなります。
デザイン歴23年、ガチデザイナーの「Tetsuya」です。
デザインの悩みを持っている方たちに直接
「デザインの何が難しいのか」を聞いてみると、
「色の選び方」という答えが比較的多く返ってきます。
確かに色数はものすごくたくさんあるため、色選びに苦戦するのはよく分かります。
なぜなら僕も配色はあまり得意な方ではないからです。
だからこそ、僕は色に関することを勉強しています。
実際、色にはそれぞれ私たち人間が本能的に感じるイメージ(印象)があり、
そうした色のイメージを知っておくと、
どんな状況のデザインにどんな色を当てはめれば良いのか、判断がしやすくなります。
ということで、今回はデザインの印象を決定付ける
「色のイメージ」についてお伝えしようと思います。
毎度デザインの配色で悩むという方は、ぜひ参考にしてください。
色のイメージ全11色
私たち人間が本能的に感じる色のイメージには、
それぞれポジティブな印象もあればネガティブな印象もあります。
だからと言ってネガティブなイメージが良くないのかというと、そういうことではなく、
どういう印象で伝えたい時にその色を選ぶのか?ということが大事ですので、
自分が伝えたい印象を考えながら、色選びをしてみてください。
赤(RED)
活発、情熱的、強い、危険、愛情、暑い、熱い、派手、生命力、活動的、興奮、積極性、エネルギー、日本、めでたい
赤は、熱を感じやすい色であることから、エネルギッシュで情熱を感じやすい色になります。
また赤には心理効果だけではなく、赤を見ると興奮して脈が上がるという生理的な効果もあるため、
相手の気持ちを少したかぶらせたい時などにも効果的です(セールなどの表記に赤が多いのはこのためです)。
なので、状況に応じてうまく使い分けるようにしてください。
赤が使われやすいもの
※赤は注意・警告のマークでよく使われます。
オレンジ(ORANGE)
元気、陽気、開放感、にぎやか、親しみやすい、活力、暖かい、楽しい、安っぽい、低俗、健康、喜び、自由奔放、社交的
オレンジはビタミンカラーと言われるように、元気や健康といった印象を与えやすい色になります。
なのでスポーツジムなど、健康系のものには比較的オレンジが使われやすい傾向があります。
オレンジが使われやすいもの
※また、オレンジは秋のイベントや応援イベント系としてよく使われます。
黄色(YELLOW)
希望、明るい、楽しい、子供、幸運、注意、明朗、暖かさ、幸福、幼稚、騒がしい、好奇心、輝き、無邪気、ユーモア
黄色は数ある色の中で最も目立つ色になります。さらに黄色は、光や輝きを感じる色でもあることから、
希望や幸福といった印象を持っている色でもあります。
黄色が使われやすいもの
※黄色はよく目立つ色という特性から「注意・警告」のマークやサインでよく使われています。
緑(GREEN)
自然、植物、癒し、健康、安全、平和、やすらぎ、爽やか、未熟、ナチュラル
緑は自然にある色が多いことから、私たちは癒しや安らぎといった印象を受けます。
また、黄緑色の若葉は初々しい印象から、未熟、初心者といった印象を想起させやすい色でもあります。
緑が使われやすいもの
※緑はエコ・地球環境系でよく使われます。
ちなみに非常口のマークがなぜ緑なのか?は、こちらの記事で解説してます。
青(BLUE)
信頼、爽やか、知性、涼しい、冷静、清潔、冷たい、孤独、静か、まじめ、誠実
青は冷静沈着、落ち着いた色の印象から、誠実でまじめといった印象が強く、
そうした理由から企業のコーポレートカラーとして最もよく使われているのが青になります。
なので、誠実な印象を与えたい場合は、青系の配色がおすすめです。
青が使われやすいもの
※青はそれ以外に、男性が好む色でもあるため男性向けのイベントでもよく使われます。
また夏のイベントでもブルーの配色はよく見かけます。
紫(PURPLE)
高貴、上品、伝統、神秘的、優雅、芸術的、女性的、妖艶、病気、不吉、派手、悪魔、非現実的
紫は高貴で優雅な印象を与える色のイメージを持っていますが、
その理由は、一昔前の時代は紫の染料を作るのが難しく、貴族や皇族といった人にしか
紫の召し物を着ることができなかったからです。
その名残もあり、紫は高貴な人が身につけるモノという印象が強かったりします。
また、紫は赤と青、対極となる色を混ぜた色でもあるため、二面性を兼ね備えた色ということで
どことなく神秘的なイメージを持たれやすい色でもあります。
なので、スピリチュアル系のデザインに比較的よく使われています。
紫が使われやすいもの
※紫は和のイメージやスピリチュアル系でよく使われています。
桃(PINK)
幸福、可愛い、甘い、春、若い、優しさ、愛情、幸せ、ロマンチック、抱擁
ピンクは幸福や愛情、ロマンチックな印象を持つ色でもあることから女性に最も人気のある色になります。
また、ピンクには青系のピンクや黄色を混ぜたコーラル系のピンクもありますので、
ピンクを使う場合はターゲットに青系か黄色系、どちらのピンクが合いそうか
検討した上で選びましょう。
ピンクが使われやすいもの
※ピンクは女性向けのイベントや、春先のイベントでよく使われます。
茶色(BROWN)
大地、ぬくもり、古典的、温和、素朴、渋い、安定、堅実、重厚、大地、伝統、クラシック、保守的
茶色は大地の色でもあることから、緑と同様に自然を感じさせ、ぬくもりや居心地の良さ、
そうした安心感を与える色でもあります。
また、茶色は比較的どの色とも相性が良く、飽きがこない色でもありますので、
配色で悩んだ場合は、キーカラー1色と茶色との組み合わせもおすすめです。
茶色が使われやすいもの
※茶色はカフェやパン屋、秋のイベント系でよく使われます。
また美容院系のデザインは比較的、茶色が多いです(髪の毛=茶色のイメージから)
黒(BLACK)
クール、高級、上質、強い、重厚、威嚇、強さ、恐怖、孤独、闇、死
黒は最も重みのある色でもあるため、重厚感や高級感、威厳を表すのに最適な色。
なので、黒を使うとどんなデザインも必ず引き締まりますので、デザイン全体が少しボヤけて見える場合は、
黒をうまく組み合わせて使いましょう。緊張感のある雰囲気になります。
黒が使われやすいもの
※黒は高級感や、シックなデザインを表す素材としてよく使われます。
灰色(GRAY)
洗練、大人、シャープ、中立、控えめ、無機質、曖昧、落ち着き、シック、陰気、抑うつ
灰色は白と黒との中間色でもあるため、茶色と同様にどんな色とも相性が良いです。
ただ灰色は無彩色でクールな冷たさもある色になるため、茶色とは違って、
灰色を組み合わせるとデザインの雰囲気は比較的スタイリッシュな印象として伝わります。
なので、柔らかい温かみを感じさせたい場合は「茶系+有彩色」、
少しクールでスタイリッシュな印象にしたい場合は「灰色+有彩色」がおすすめです。
灰色が使われやすいもの
※灰色は自己主張が強い色ではないため、裏方的な位置付けの素材として使われやすいです。
パソコンはグレーというよりシルバーですけどね(笑)
白(WHITE)
シンプル、純粋、神聖、透明、清楚、無垢、清潔、明るい、緊張、平和
白は全く混ざりけのない色でもあることから純粋、清潔というクリーンな印象があり、
信頼を得やすい色でもあります。
また、白は何色にでも染まるため、どの色とでも相性が抜群に良いです。
白が使われやすいもの
※白は基本的にベースカラーとなり、様々な要素を引き立てるのに効果的です。
以上が全12色のカラーイメージです。
デザインで使われる色にはおおむね傾向がある
さて、全11色のイメージと同時にそれらの色が使われやすい
デザインの素材もピクアップしてみました。
もちろん、何をデザインするかにもよるのですが、
デザインには必ず理由があって作られてますので、
どんなものを作るにしてもデザインを分析すれば、
ある程度の方向や色のイメージが定まります。
あとは、それらの分析データにどう自分のエッセンスを加えるか?
「自分色に染める」という言葉もありますが、
よくあるパターンのデザインであっても、そこに自分なりの考え方や趣向といった
「エッセンス」(=隠し味のスパイスのようなもの)を加えることで、
人とは違った印象のオリジナルデザインにすることができます。
なのでデザインで悩んだり難しいと思う場合は、以下の3ステップ
- 自分が作りたいデザインの傾向を分析する
- 自分が好きなデザインの傾向を自分のエッセンスとして理解しておく
- 一般的なデザインの傾向と自分ならではのエッセンスを組み合わせて形にする
こうして一般的なデザインの傾向と、自分ならではのデザイン、両方を把握しておくと
「自分らしく伝わるデザイン」が作りやすくなります。
ちなみに自分なりのエッセンスと言っても、難しく考える必要はなく
「どれか1つでも」これが自分と思える要素を決めて入れるだけでも大丈夫です。
例えば、色を決めて統一して使うでも良いですし、フォントを統一して使っても良いですし、
何かしらの素材を決めて使うことで、必ず自分らしさが光るようになりますので、
「これが自分!」と思える要素をぜひ一度探してみてください。
大事なのは一貫性です。信念や軸がないふらふらした人は信用されにくいように、
デザインにも「浮気心」が見えるフラついた印象のものになっていると
人から信用はされにくくなります。
僕も実際に自分が好きな色、好きな書体、好きなイラストのタッチなど、ある程度決めて使っています。
こうして伝えると「自分が好きな色や書体で良いの?」と思われるかもしれませんが、
デザインで大事なのは「理由」です。
なので、自分が好きな色を使うにしても「なぜそれを自分の色としているのか?」
説明がきちんとできれば、説得力もありますし、その理由が自分ならではの信念やコンセプトになります。
そうして理由を考えながらデザインしていくと、それがブランディングとなり、
ブランドの構築にもつながります。
だからこそ、デザインする時には、なぜその色なのか?なぜそのフォントなのか?
まずは人にではなく、自分が納得できる理由もぜひ考えてみてください。
自分が納得できる理由があれば、人に伝えるのは簡単ですし、
自分の軸としてデザインの要素で無駄に悩むことなくいろんなデザインが作りやすくなります。
まとめ:理由なきデザインはデザインではない
今回はデザインを決定づける色のイメージということで、
それぞれの色が持っている印象と、どんな要素でそれらの色が使われやすいのか、
ざっくりお伝えしてきました。
実際、こうしたことを伝えても「そんなことは分かっている」と思う方が多いかもしれませんし、
そんな当たり前にデザインしても「インパクトがない」。
そう思われる方がいらっしゃるかもしれません。
ですが、デザインはアートではなく、大事なのはコミュニケーション。
デザインは目的を達成するために設計するものであり、
理由も目的もないデザインは、そもそもデザインではありません。
だからこそデザインをする時は「伝えたい人にきちんと伝えることを意識する」のがとても重要。
なので、例えありきたりで退屈なデザインだと思ってもまずは「伝わるイメージ」を優先しましょう。
なぜなら奇抜で良くわからないデザインほど、人にはスルーされやすくなるからです。
つまり、自分のターゲットにきちんと気付いて欲しいと思うのなら、
ターゲットがきちんと気にしてくれる王道の配色にすることがまずは基本で、
例えば、女性に見て欲しいのに、男性が好みそうな
青や茶色、黒を組み合わせたようなデザインにしても見てもらうことができないわけです。
特にビジネスや自分が伝えたいターゲットに向けて情報発信する場合は、
自分よりも相手の気持ちや行動を考えてデザインすることが大事ですので、
配色で悩んだ際には、自分のターゲットがどんな人で、
どんな色のデザインなら反応してくれそうか?
そうした視点で考えながら色を選ぶようにしてみてください。
そうして理由を考えていくと、おかしな色を選んでしまったり、
余計なことで悩むことはなくなります。
ということで、参考になれば嬉しいです。
使う色の目安が決まったら、色のトーンもぜひ調整してみてください。